JINA(三宮)
2024年 11月某日(ディナー)
神戸・三宮 JINA
担当:SETO TAKAMI・TAMURA YOSHIE
神戸のエジプト料理専門店に行ってきました。
お店の名前「JINA」は、オーナーさんのお名前だそうです。
エジプトの雰囲気ただよう店内。
上段中央:Fawzia bint Fuad(エジプト王 Fuad 1世 の娘で イラン王妃)
上段右: Farouk 1世(第2代エジプト王)
下段中央:エジプト王国国章
さて、こちらのお店、メニューは置いていないそうで、値段別のおまかせコースを選ぶようになっていました。今回は事前に「おまかせコース7,500円(ドリンク別)」を予約しました。
メニューはないけれど、コース料理を一品ずつ詳しく教えてくださいます。
オードブルです。いろどりがキレイでお野菜たっぷり。JINAさんによると「農耕民族なのでエジプト料理は基本的に野菜が多い」とのこと。
ナスのマハシ(左奥)は、ナスにハーブとニンニクを詰めたもの、ピリ辛でした。
その手前はカラスミです。
カブの酢漬けの赤い色素はビーツだそう。
スプーンに乗っているのは、ナス、パプリカ、ニンジン、ダイコンのマリネ。
右奥にあるのはトマトとエジプトの自家製チーズです。チーズはフォークで割るとボロボロとして、カッテージチーズのようでした。
癖のあるチーズがあまり得意ではない私たちですが、とても食べやすかったです。
全体的な印象として、エジプトではお酢をよく使うのかな?と感じたのですが、実は「女王クレオパトラは美貌を保つために酢を愛用していた」という記録があるそうですよ。 一緒に写っている赤いドリンクはザクロジュースです。古代エジプトでは食料品をお墓の壁画に描いて「死者が復活するまでの間の食べ物に困らないように」と願ったと…その中にザクロもあったそうです。エジプトではザクロとカボスがポピュラーで、今回は試せませんでしたが、エジプトワインもありました。
スープは、レンズ豆・かぼちゃ・ニンジン・セロリ・ニンニク・玉ねぎ・トマトをミキサーにかけて、漉さずにザラっと感を残してありました。
エジプトの食卓には欠かせないスープですが、特に夏場のモロヘイヤスープは定番。
ハワウシはエジプトのピザ風ファーストフードとして人気料理、お店によっては「ミートパイ」と紹介しているところもあるようです。ラム肉と玉ねぎ、シナモン・パプリカ・ナツメグ・ザクロの皮を炒めて、ピタパンに詰めたものを油で焼いてあります。
バターや油を使っている料理が多かったのですが、どれも油っぽく感じませんでした。JINAさんによると、ほとんどの料理にあっさりしていて深みがある水牛のバターを使っているとのことでした。水牛のバターは焦げないそうですよ。
ぶどうの葉のマハシ は、米とハーブとトマトを炊いたものをぶどうの葉で包んでいます。ぶどうの葉っぱはアラビア語で「ワラク・イナブ」と言うそうです。
リゾットを桜餅の皮で包んだ感じというか、とても存在感のある葉っぱなので、慣れないと少し気になるかも知れません。中のお米はとてもおいしかったです。
エジプトでは日本と同じジャポニカ米を食べるそうです。栽培されている米の約8割が日本由来のジャポニカ米なのだそう。エジプト政府が米の品種改良に着手した際、世界各国から約250種の米を集めて比較検討した結果、最もエジプトの気候に適し、生産性が高いとして選ばれたのが日本由来のヤバニ米(ジャポニカ米)だったそうです。
ガンバリファラーシャ…アラビア語で大きなエビのことを「ガンバリ」と言うそうです。ファラーシャは蝶々。蝶々のように開いたエビということなのですかね?
レモンクリームソースが添えてあります。蒸し焼きのようで、さっぱりしていて、とっても美味しかった!!
チキンと野菜のグリルは、野菜(ズッキーニ・玉ねぎ・ニンジン・ナス・トマト)の甘味に、「オニオンパウダー」のコクがアクセントになっていて、さっぱりしたお味でした。
エジプトでは、オニオンパウダーを各家庭で手作りするそうで、JINAさんにとっては「おばあちゃんの味」だそう。
最後はデザートです。バスブーサは、とにかく甘~い!シロップをたっぷりしみこませたコーンブレッド(焼き菓子)です。アーモンド・ヘーゼルナッツ・ココナッツをたっぷりのせてありました。
どうしてこんなに甘いの!?と思いますが、エジプトではこれに砂糖を多めに入れた甘い紅茶を合わせるのだそうです。
料理に砂糖を用いない代わりにスイーツは徹底的に甘くするだとか、宗教上の食事制限(お酒を飲まない・断食)の反動だとか、暑い国での体力温存の知恵だとか、理由は諸説あるようですが…、一般的な日本のスイーツと比べて衝撃的な甘さでした。 エジプト料理体験、全体的に口に合って、おいしかったです。コース料理だけだと選べないのでアラカルトで他のエジプト料理もいろいろ試してみたいです。
—– もうひと皿(JINAさんのお話しから)—–
「エジプト人は発酵食品がめちゃ好きな民族」とのことでした。
発酵食品というイメージがないエジプト料理ですが、「とにかくエジプト人は体にイイものを食べる」という健康志向があるようです。日本人と感覚が似ているところがあるのかも知れませんね。「素材の味を大切にする調理方法が多い」というのも。
ピラミッドの建造に携わった労働者への標準的な配給は、パン(平焼きではなく発酵工程を経たもの)やビールだったというのですから、いにしえから発酵食品への関心が高かったのかも知れませんし、何より風土や文化に発酵食品が合っていたのでしょうね。
「お写真ご一緒に!」のお願いにも、とても快く受けてくださったJINAさん。
お父様がイタリア人で、日本には若い頃からいらしていたそうです。神戸ANAクラウンホテルや大阪のホテルで料理人をしていた経歴もあるそう。
ジーナさんにとってのエジプト料理は「おばあちゃんの味」なのだとか。(旦那様は日本人だそうです。)
エジプトの歴史についてもとても詳しく、料理だけでなく近隣諸国のことなど、色々なことを教えていただきました。
お店には芸能人や政治家がよく来るそうで、訪ねたその日も取材が入っていましたよ。
お土産に、とピタパン(エジプトでは常備食)や手作りバター、手作りオニオンパウダーも持たせてくれました。手作りバターは、フライパンで熱して香りが立ったら卵を溶き入れて、半熟のうちにカッテージチーズを合わせる、「コレ最高!!」と教えてくださいました。
トマトやレタス、ツナなどを挟んで、ツナサンドのようにしてみましたが、とてもおいしかったです!ピタパンをカットすると中がポケットのように空洞なので、挟みやすく食べやすかったです。
エジプトのパンはピタのほか、フティールという、イーストの入らない生地を薄くのばして折り畳んで焼く、パイのようなものもあるのだそうです。形が丸いのは、全て神様にお供えするため感謝を表しているとのことでした。